>>93のつづき)

こうじ:「いいか、さとる。初めは『問題の解き方を教えて』という頼み事だったから、
 さとるの成績を上げるためならと思って俺は引き受けたんだ。
 そのうち『面倒だから解いて。』ってなって、
 そのあとに『代筆がばれないように筆跡もまねて。』とまで言ってきて、
 要求はエスカレートするばっかりじゃないか。
 俺は自分の勉強時間が削られて困ってるんだ。
 だから、さとるの現状を公文の職員に伝える必要性も出てきたってことなんだ。」
さとる:「おめぇ、チクるのはナシだぞ。あと、来週も新しい宿題が出るから、
 それも頼むぞ。これも一生のお願いだから。」
こうじ:「一生のお願い、一生のお願い、って、それもう聞き飽きた。
 いっつもワンパターンな口癖ばっかり。
 さとるの一生のお願いを、3年生のときだけでも俺が何度聞き入れてあげたと
 思ってるんだ。迷惑なんだよ、さとるが言う一生のお願いは!
 そもそも一生のお願いというのはな、一生に一度しかできないものなんだよ。
 なのにお前、それさえ言えば相手を何度でも従わせることのできる
 魔法の言葉と勘違いしてないか?
 一生のお願いをいつもいつも繰り返しやがって、さとるは何回死ねば気が済むんだ!
 俺は公文の宿題に限らずいろんなことで
 さとるの一生のお願いを100回くらい聞き入れてあげたんだから、
 一度くらい、逆に俺の方からさとるに対して一生のお願いを
 させてもらってもいいよな? 自分の勉強は、自分でやれ!」
さとる:「なに説教じみたこと言ってるんだよ。これからも公文の宿題、
 代わりにやれ! いいな!」

(つづく)