Aは、妻にもずいぶんな暴言を吐いたらしかった。A母もA妻の味方をして、息子を責めたそうだ。
Aは、周囲にA妻の悪口を言い触らした。いろんな人がAの間違いを指摘した。
見かねた上司から、産業医のカウンセリングを進められたそうだ。
鬱病と診断結果が出て投薬を受け、Aは落ち着いたように見えた。
薬が効き始めるのが投薬から二週間後位から。Aは、周囲や医者の忠告を聞かずにA妻に凸したらしい。
俺に泣きながら電話をかけてきた。
妻にやり直すのは無理。ときっぱり言い渡されたそうだ。俺のことはもう好きじゃないんだ。と泣いていた。
俺は半分辟易しながらも、とにかくうちに来いと誘った。愚痴なら聞いてやる。来い。
それでもAは電話口でぐちぐち言ってた。

『お前、そんなんだから奥さんに愛想つかされるんだ。兎に角来い。待ってるから』

その夜、Aは来なかった。Aの家に行っても応答なし。A母に連絡。家に入る。
吊ってた。自販機で買ったらしい安酒を呷って事に及んだのが分かった。

A母が、A妻の家族に連絡を取っていた。知らせを聞いたA妻は倒れたそうだ。
せめてきちんと離婚して、慰謝料なんかも済ませてからやればよかったのに。また迷惑かけて。とA母が泣いてた。
全部終わった後、俺もカウンセリングを受けた。医者は、俺のせいではないと言ってくれた。
でも、俺のせいだと思う。俺の一言が背中を押した
A妻にもきちんと経緯を話して謝罪をしなければ、と思うが未だにできていない。