――つまり、ご子息を通じて、保阪さんのなかにもうひとつの視座ができたと……。ネット時代の激しい左右対立の時代に、これからの歴史家はどういう態度で仕事をしていくべきなのか、最後に伺いたいと思います。

保阪 歴史家に限らず、「俺の親父はどうやって生きたんだろう。おふくろは、おじいさんは……」と考えるのが人間の筋道だと僕は思います。
それは歴史家の第一歩。先達はどう生きたんだろうと考えるのは、歴史の中に自分を位置づけていくことですよね。
 その時、絶対やってはいけないのは「ジャッジメント」です。
自らが天空の一角に座ったかのごとく「これはいい」「これは悪い」とジャッジすること。
そういうことをする人は政治家の中には大勢いるし、右にも左にもいます。
そういう不遜な態度を反省して、きちんと事実を見るべきなんですね。