20年ほど前、まだネットが十分に普及していなかった頃の話
スネ夫みたいな叔父さん(父の弟)、高々従業員数名の自営業で「オレは社長だから」が口癖のイヤミな人
羽振りは良くてガキの頃は会うたびに小遣いもらえたからそれはいいんだけど
あるときたまたま手掛けた事業が大当たりし豪邸を建て、船や別荘などを所有するようになった
まあ典型的な成金ってやつか

盆に帰省して親戚一同が集まったとき、叔父さんの大口が始まった
「俺君は車詳しいよな
 今度外車を買おうと思うんだけどフェラーリとかランボルギーニとか、ありきたりなのはパスだ
 金に糸目はつけないから誰も持ってないようなスポーツカーで左ハンドルで、何かいいの知らないか?」
こう聞かれたので俺は即返した
「予算がいくらでもかまわないというならマクラーレンF1なんかどうです?左ハンドルじゃないけど」
なぜか叔父さんの顔は不機嫌になった
「あのなあ、俺は真面目に聞いてるんだ
 F1なんか買ったって意味ないだろ!」

だからこっちは真面目に答えたのにな
ここで普通なら叔父さんがカン違いしてるという流れになるはずなのだが、
会話を聞いていた父や他の人たちまで「ふざけたこと言うんじゃないよと」叔父さんに同調
頭ごなしに否定され、こらあかんと思ったのでこれ以上この話は無しに

無知を無知と認められないのが災いしたか、それから10年ほどして叔父さんの会社は倒産
今じゃ年金暮らしで高血圧糖尿病不整脈といったフルコースを食らっているのに、
「オレは偉いんだぞ」がまだ抜けきっていないからタチが悪い