ペットブームのかげで、毎年のように起きる飼い犬によるかみつき事故。例年4,000件以上発生し、死亡事故まで起きている。
そんな飼い主の手に負えなくなった凶暴犬を専門に預かり、更正を請け負うのが、訓練士・中村信哉。飼い犬との平穏な生活を求め、中村を頼る声は全国各地から届く。
だが、その訓練は極めて厳しく、批判の声も浴びることさえある。それを承知の上で、中村は自らの信念を貫き通す。
「厳しいのが嫌いだからといって、やらなかったら襲ってくることも止まらないし犬はかみ続けてしまうんですよ。
かむ犬は治らないんだとあきらめてしまって処分をしたケースがあるんです。命が終わってしまうんです。だから厳しくやるわけです。それこそ、どんな方法を使ってでも飼い主さんのもとで一生を送らせたい。」

中村が引き受けた犬の更正率はおよそ8割。更正を断念した犬も事実存在するが、中村はその犬たちをすべて“わが子”として引き取っている。