結果、駐屯地の見学に行った班は現場の自衛官の生の意見をまとめ、戦車に乗せて貰っている写真や駐屯地の自衛官との記念写真なども載せ、広報ビデオまで借りてきて放映し、
充実した内容に。

 対して自分の班は図書館で借りた本の内容を切り貼りするだけの、素っ気ない内容に。

 文化祭が終わった後、駐屯地に見学に行った班の班長に「どうやって行ったの?」と訊いてみたところ、

「相談したら、うちのお父さんがすぐに見学の手続きはどうすればいいか調べてくれて、あとは俺がやったよ」
「中学生だからってバカにされなかった?」
「とんでもない、ものすごく親切だったし、色々教えてもらったよ」

 ということだった。
 家に帰って、その班長の話を親にしたところ、答えは

「あっそ」

 の一言だった。
 特にうちの親がブサヨだったということはないと思うが、同じ親なのにどうしてこうも違うのだろうかと落ち込んだ。

 それ以降、俺は親に相談するということをやめた。どんな大きな問題でもぎりぎりまで相談せず、親が気づいた時には手遅れということもよくあった。
 そのたびに「どうして相談しなかった」と言われたが、幼い頃からやりたいことは全て否定してきた親に相談なんかできるものか。

 そんな自分ももうすぐ親になる。
 ちゃんと子供の相談に真剣に向き合える親になろうと心に誓っている。