しかし、青二才な上にネットにも不慣れだった俺は毎日押し寄せる圧倒的な言葉の暴力に抗うことはできず、反省文を投稿するも今度は「句読点がどうの」「一人称がどうの」
「言葉尻がどうの」と文句を付けられ、しまいには「反省してない」とさらなる叩き。場を収めるための反省文がかえって燃料の追加になってしまった。

さらに悪いことに、この話が当のアーティストの耳に入ってしまい、ライブ当日には係員から「録音や録画は一切禁止」という異例の口頭での注意があった。
こちとら肩身が狭いったらありゃしない。もちろん、それも俺のせいらしかった。

それでも、中には冷静な人がいて、ごく少数だが俺に励ましのメールや擁護のメールを送ってくれたことはありがたかった。しかし、この炎上は一ヶ月以上続き、その後も折に触れて再燃することがあった。

ともかく、不特定多数の人からの悪意を大量に受けることに慣れていなかった俺は(慣れてる人はそうそういないと思うが)たいへん落ち込み、ロムは続けるものの書き込みは一切やめた。

その数ヶ月後、それが原因ではないが、そのメーリングリストは閉鎖となった。しかし今でも俺が今までインターネットにかかわってきた二十年の中で最大の事件であり、今でも小さなしこりとなって残っている。

これは蛇足かもしれないが、同志が集まり、議論や意見を交わすことで思想が純化され、敵を見つけて非難することで一体感を得る。
きっと連合赤軍はこうして仲間をリンチして殺したんだなと、少し後に当時を振り返った俺は思った。

アーティストの特定は勘弁してもらいたいが、坊主が憎いからといって袈裟まで憎いわけじゃないので、当時ほどの熱烈さはないが、今でもそのアーティストは好きで、たまに聴いてたりカラオケで歌ったりする。
アーティストに罪はない。

読み返すと要領を得ず、わかりにくいかもしれませんが、とにかく、俺の書き込みがどういうわけか意に反する解釈をされ、めちゃくちゃに叩かれたお話だと思ってください。