その日いたのは僕が採用してあげたとある女の子。
実はちょっとお気に入りだったんだ。
2年ぶりにこちらの店に復活したら垢抜けてない田舎娘みたいな子が
大学生になってキレイになっちゃって化粧なんかしてパーマなんてあてて
バイトリーダーですって顔をしてるわけよ。
だもんで「コイツ、採用した時男の子みたいなショートカットでかわいかったんだよ。
当時の店長は面接来た時使えなそうだから不採用にしようって言ってたけど、僕が採用してやったんだ。
なんせ面接で「あ、あ、えっと〜。○○ですぅ〜(声裏返る)」だったんだもん。
結果よかったよ、今じゃ一番仕事ができるもんな。石ころでも磨けば光るって
こういうことなんだよね。僕じゃなかったら石ころは道に捨ててたはずだ」って
モノマネを交えつつ親愛の情を込めて言ったんだ。

そしたらな、普段おとなしくてかわいいその子が
「あなたみたいにみんなの迷惑を考えずに後足で砂をかけるように店を辞めて
った人が出戻っただけで常識疑ってるのに、なんで戻ってきたらいきなり
俺がリーダーだって言えるんですか?どうかしてますよね。
正直言ってあなたに先輩風吹かされて使われるのは腹が立ちます。
それは他のリーダーもみんな一緒です。それでも我慢して黙っていましたが
過去のことまで持ち出されてバカにされたらもう黙っていられません。
あなたはこの仕事歴は4年かもしれませんが、この店で働いてるのは今の時点では実質数ヶ月なんです。
あなたのいない間にいろんなことがあって、今ここにいるのはそれを乗り越えてきた仲間なんです。
その間にあなたは何してくれたんですか?勝手にいなくなって店をめちゃくちゃにして
近隣店でこれ見よがしに働いてただけです。うちの店とは全く関係ありません。
あなたがこの店のバイトになんて言われてるか知ってますか?」
と言ったところで店長が割って入り彼女を止めた。
彼女はそのときにはもう涙をポロポロこぼして顔を真っ赤にしていた。