東工大伊原研究室では、ランプヒーターの高速走査により膜のみを高温熱処理及び再結晶化する手法を有し、表面熱履歴の制御による高結晶化の技術蓄積を持つ。帯域加熱は短時間での処理であり、大面積化にも対応可能な手法である。平滑なSiO2で挟み込む構造を作り、高速の帯域加熱を行うことで、アモルファスSiを短時間で溶融再結晶化し、単結晶Siを生成することに成功していた。この結晶成長では、SiO2/Siの固液界面にて安定結晶面が存在しメルト/固化の過程の局 所的な安定性によって(100)配向し、"高速、シード無しの処理"でも単結晶Si膜の形成が可能となったと報告していた。
さらに、同技術をポーラスシリコン基板の処理に適用し、処理条件をよりマイルドにすることで、表面のみの構造変化を可能とするゾーンヒーティング再結晶化法(ZHR 法) を開発した。これにより、容易にリフトオフ可能な構造と成長に必要な構造変化の両立が可能となった。しかし、これらの構造変化と成長するSi薄膜の品質との関係は明らかではなかった。