昔から上智大学の法学部・経済学部・理工学部の、特に男子学生に顕著なのが、「早慶に受からなかったから、上智に進学した」というものがある。
早慶上智とはいっても、やはり、偏差値では、早慶に比べて上智の方が一ランク低く、早慶を上智と併願すると、早慶の合否ボーダーライン上の生徒で、早慶には落ちたが、上智には受かったという例が、先の三つの学部では顕著である。
そこで、上智の男子学生には、「早慶上智は同格だ」という思いと、「やっぱり早慶にはかなわない」という思いが、複雑なコンプレックスを描き出す。
一方、上智の文学部・外国語学部・国際教養学部・総合人間科学部の女子生徒は、初めから上智大学を第一志望にしているケースが多く、彼女らには、早慶に対するコンプレックスは感じられない。
複雑なコンプレックスを描き出して負のオーラを発する学生は入学直後の成績は良いものの、だんだん成績が低下傾向、さらに自らが通っている上智大学のことを良く言わない傾向にあったという。
そのため、そのような学生の比率を低くしようとした。

そこで上智大学が選択したのは推薦入試の増加である。
上智大学の入試課長は推薦入試の比率について、文部科学省の指導で定員の5割までは推薦入学でいいということになったため、第1志望の学生を多く取りたいため推薦入試による入学者を5割になるように設定していると回答している。
ただし、どのような推薦入試であっても上智が開発したTEAP試験を受験して各学科が指定した点数を取ることを、推薦入試の出願資格として最低限の英語力は確保している。

さらに入試の問題を癖がある特殊な問題や難問を多くした。
ただし、過去問を繰り返す等ある程度の受験対策を施せば正解を導きやすいようにした。
これにより、上智大学の対策を取っていない上位大学を目指し上智を滑り止めとする受験者が不合格になることが、多くなるような入試にしている。
それを知っていて、最初から上智への入学は考えておらず、あくまでも本命の大学の練習を兼ねた受験を考えている受験生は、対策しなければならず負担が大きい上智は受験せずスルーすることも多い。

さらに上智受験のためにTEAP試験を費用をかけてまで受験し、上智大を受験するTEAP利用型入試については上智大学の第一志望受験者が比較的多いことから良問を多くしている。
ある予備校の講師は「上智のTEAP利用型入試の記述問題は良問が多い。」と絶賛していた。
悪問が多いと不評な「学科別入試」とは正反対である。
TEAPを「1万円以上の受験料」を払って4技能を受験し、さらに上智大学各学部の定める基準点を取り、上智大学を受験する学生は「上智大学第1希望」のことが多い。