おお「明治」その名ぞ
「強き日本の象徴」


『白雲なびく駿河台』を土地高うして白雲なびくと文字通りに取るならば、
わづかの丘なる駿台を知る者は、あまりにも誇張に過ぎたる表現と感ずるであらうけれど、
日本人に共通なる感激の思ひで多き『明治』の名を思ふ時、芙蓉の峰の聖き姿に
靉靆としてたなびく白雲が眼に浮び、その白雲につながる思ひは際限ない。

『霊峰不二に白雲なびくさまのよく見ゆる駿河台』といふ意味に取るならば、
それはまたあまりにも、プロゼイクなる解釈にして脈うつといふものを知らぬ者である。
熱血詩人児玉花外、『明治其の名』を思ひて感慨無量、睫毛に宿る真珠のレンズを
透して見たる白雲であつて、時代の暁の鐘を撞く先覚者の胸の血潮の高鳴りを
いみじくも偲び得る者ならでは解し難きところであらう。