'06年センター試験国語
彼女たちは二人とも文藝部員で、自分のことを「僕」と呼んでいた。
これを読んで、後の問い(問1〜6)に答えよ。(配点 50)


「<二十億光年の孤独>を読んだ?」
「・・・・・・うん。泣いた、僕」
「キルケゴールが・・・もちろん読んだって半分もわからないんだけど・・・・
本を開いただけで苦しくなって・・・・・」
「<死に至る病><わたしにとっての心理>・・・僕らをひとことで殺す文句だ。」

ふたりは、ふたりであるがために身をこわばらせて黙り込んだ。
目を逸し合いながら、互いの胸がヒクヒクと震える音を聞いていた。
その震えの中に、ありがちな自己陶酔のうねりと、高潔な魂を気取る
虚飾の顫動<せんどう>とを同時に認めていた。