60代:
同世代は孫ができ、退職後は退職金やこれまでの貯蓄、年金等で贅沢とは言えないまでも幸せな普通の人生と言える。
一方、長年に渡る底辺生活で栄養失調と不摂生が重なり身体はボロボロ、あちこちが痛むが病院で診てもらう金が出せない。
無理を押して仕事していた夏に炎天下の現場で倒れ、担ぎ込まれた病院のベッドの上で、連絡を受けてやってきた兄弟と十数年ぶりに再会する。
治療費を払ってくれた兄弟は連絡先を告げずに姿を消す。
恐れていた通り、ボロアパートの家賃すら払えなくなり、生活保護の申請にいくも門前払いにされたたためついに一線を超えてしまい、
プライドを捨て、コンビニ・飲食店の残飯あさりを始める。
臨時福祉給付金で雨風をしのぐためのビニールシートなどを購入し公園や河原でテント生活を始める。
自分と同年代の初老の夫婦が孫を連れて散歩するのを横目に廃品回収を続ける。
     

終末:
昔のクセが抜けず、ある日、コンビニ弁当を分けてくれた若いホームレスについ偉そうに説教をしてしまい、あばらを折られる。
しかし健康保険もないので病院にも行けない。もちろん国民年金などもらえない。あとは時間の問題にすぎない。
病院に行く術もなく、1週間テントの中でうなっているところを中学生に襲われ死亡。
その日は別の大事故があり、死亡事件は新聞にも載らず、誰にも知られることはなかった。
親族の中では行方不明のまま、共同墓地で無縁仏となる。