金融政策は雇用政策である。金融政策はすべての業種に薄く効果があるため、業者ごとでは認識できない場合もある。しかし、雇用をすべての業種で足し合わせて見れば、その効果は歴然となる。

 金融緩和すると、第一段階として、少しタイムラグ(時間のずれ)があって、まず就業者数が増加する。初期段階では、それまで職のなかった人が非正規やアルバイト・パートという形で雇用増加に貢献する。

 新たに就業者に加わった非正規やアルバイト・パートの賃金は、既に雇用されている人より低いため、それまでの就業者を合わせた全体の平均賃金を押し下げる。

 第二段階として、就業者数が増えてくると、失業率が下がり出し、もうこれ以上就業者数が増えないような完全雇用の状態に近くなる。

 そこで賃金が伸び始める。特に、アルバイト・パートの時給や残業代などが上がる。そうなると、下がっていた賃金も反転し上がり出す。雇用形態も徐々に非正規やアルバイト・パートの割合が減り、正規雇用が多くなってくる。