生まれは東京・墨田区。実家からは東京スカイツリーが見える。小学校の頃は通学路からその建設過程を眺めていたという。
そんな下町で育った千葉ロッテマリーンズの左腕・佐藤奨真にとって、東京ドームは憧れの舞台でもある。小学校の頃は年に数回、所属する野球チームの仲間たちとスタンドから声援を送っていた。
6月4日のジャイアンツ戦、佐藤は初めて東京ドームのマウンドに上がった。今年3月に育成契約から支配下登録されたばかり。まだプロで白星を上げていない24歳は、4万444人の大観衆が見守るマウンドで堂々たるピッチングを披露。前日に登板した“令和の怪物”佐々木朗希投手の余韻が残るマウンドで、7回を投げて被安打4、2失点の好投を見せた。
佐々木朗希のような剛速球はない。佐藤のストレートは130キロ後半。それでもカーブ、チェンジアップとのコンビネーションで強力ジャイアンツ打線を翻弄。勝ち星はつかなかったが、ファンの記憶に残る投球を見せた。

「東京ドームはやっぱり憧れの舞台ではありました。勝ちたかったですね」
「朗希の後に投げる。そういう形が理想だよね」
 ジャイアンツ戦は先発3試合目だった。プロ初先発は5月14日、京セラドーム大阪でのオリックス・バファローズ戦。山本由伸との投げ合い、6回を被安打2、1失点の好投。2度目は5月28日、ZOZOマリンスタジアムでの阪神タイガース戦。これまた相手はエースの青柳晃洋だったが、3回までに4点を失いながらも残り3イニングを無失点で切り抜けた。いずれも負け投手となっているが、粘りのピッチングを見せている。
投球と共に注目を集めているのが“登板日”だ。佐藤が先発したのはすべて佐々木朗希が投げた翌試合。160キロ超のストレートを投じる剛腕と、130キロ台のストレートを投じる技巧派左腕のローテーションの妙は話題を集めている。