センバツに出場した市和歌山高校(以下、市高)のメンバーで背番号1番・小園、2番、松川、3番・川島碧生、4番・杉本明弘はすべて貝塚ヤングの出身。市高への貢献度は高い。

「慎吾が前身の市和歌山商(通称、シワショウ)の出身という縁があります。ええ学校やと思います。早い段階でまず松川を進めてたんです。松川は私を100パーセント信じてくれた。市高に行きますと」

小園には他県の甲子園常連私学の誘いもあったという。大阪桐蔭の西谷浩一督もよく来ていたそうだ。もし、二人が大阪桐蔭に行っていたら、ますます強くなる。川端監督はこう言って笑う。

「あそこは全国からなんぼでも来てる。選手、余ってるのに。分散せなあかん」

小園は強豪校の練習なども見学したという。自分を納得させるためだったろう。そして最後は松川が一緒に市高に行こう、と小園を誘う。

大阪桐蔭に行きくなる気持ちは理解できる。4番を打って目立てばこの上ない成功。プロへの近道になる。でもメンバーになれなかった子はどうなるか。松川も小園も行けただろう。しかし他のメンバーに負けたとしたら。強豪私学で埋もれてしまうと、プロへの道が狭められる恐れがあるのだ。