選抜ナンバーワン右腕に投げ勝つ 愛知の好投手の気迫

(14日、高校野球練習試合 愛知・享栄5―1和歌山・市立和歌山)

 次々に三振を奪うその投球は、選抜大会ナンバーワンの呼び声が高い右腕よりも目立っていた。


 14日に行われた市和歌山と享栄の練習試合。19日に開幕する第93回選抜高校野球大会に出場する市和歌山の最速152キロ右腕、小園健太(2年)が登板するとあって、同校のグラウンドにはプロ4球団のスカウトや報道陣が集まった。

 小園は立ち上がりから変化球が低めに制球され、直球も150キロを計測。さすがの投球を披露したが、バックネット裏をうならせたのは享栄の先発マウンドに立った同じ右腕の竹山日向(2年)の方だった。


 140キロ超の直球にはキレがあり、追い込んでからは鋭く曲がるスライダーでバットに空を切らせる。四回まで無安打。「前夜に(大藤敏行)監督から明日は小園君との投げ合いだと言われて気合が入った」と、なにより気迫がみなぎっていた。

 結局、ともに7回を投げ、走者を背負った場面で球が浮いた小園は7安打5失点で7奪三振。竹山は最後まで安定し、3安打1失点で八つ三振を奪った。投げ勝ったが、浮かれないのもこの投手の魅力だ。「小園君は変化球の精度がすばらしい。見習いたいです」。淡々と言った。

享栄は昨秋の愛知県大会準々決勝で東邦に敗れ、選抜大会を逃した。この春は市和歌山のほかにも大阪桐蔭、県岐阜商、京都国際など選抜出場校との練習試合が組まれている。

 大藤監督は「甲子園に出る学校に勝つぞ、と言っている。竹山も成長し、夏に向けておもしろいチームになってきた」。2009年夏に中京大中京(愛知)の監督として堂林翔太(現広島)らを擁して全国制覇した。今の享栄の力は当時の中京大中京と遜色ないという。


 選抜大会の期間中は、履正社(大阪)や横浜(神奈川)など選抜を逃した強豪校とも練習試合をする予定だ。竹山は言う。「目標は日本一。強豪校との対戦で全国レベルを感じたい」。大舞台の裏で、夏への戦いはすでに始まっている。


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