近畿大会でベスト4進出を決め、来春の選抜の当確ランプを点灯させた市立和歌山。その市立和歌山が、滋賀の伊香高校をグラウンドに迎え、練習試合を実施した。
 伊香といえば今春の選抜の近畿地区21世紀枠の推薦校。3年生・隼瀬 一樹投手を擁したことでも注目を集めたが、今夏の独自大会では2回戦敗退の悔しい結果。新チームも2回戦で国際情報に敗れ、長いトレーニング期間を過ごしているが、気になるスラッガーが2人現れた。
 1人目が3番・ピッチャーとして出場した久保田大成。身長182センチ・体重100キロの大柄な体格の持ち主である久保田は高校通算6本塁打だが、打席の中では鋭いスイングを見せる。上体が高く少し突っ立つ形に近いが、バットを立てた状態で無駄の少ないフォームで構える。変化球への対応に課題を残すものの、大きな体を存分に使ったスイングには迫力を感じた。
 一方のピッチングでは最速131キロとのことだが、セットポジションからゆったりと動いていき、左足が着地すると重心をきっちりと落として投げ込む。独特なフォームから威力のあるストレートを軸に緩急を武器にした投球で市立和歌山打線を翻弄する。まだまだ伸びしろ十分な投手だ。
 そして2人目が4番に座る高橋。身長184センチ、体重95キロと3番・久保田に負けない大型スラッガーの高橋は、久保田と対照的にトップを後ろにきっちり引いており、構えは大きい。しかし、そこからすり足でタイミングを取りながら手元まで引き付けて、思い切りの良いスイングで打球を飛ばしていく。見ていて風格を感じさせるバッターだ。
 そんな高橋が市立和歌山相手に魅せる。1対3で伊香ビハインドで迎えた4回、高橋に打席が回ると、市立和歌山先発・伊藤の3球を捉える。弾丸ライナーで運んだ一発は95メートルある市立和歌山のレフトへ飛んでいくホームラン。市立和歌山側からも「えぐい」と言わしめる高校通算15本目の一発で2対3と反撃ムードを出す。
 すると6回に市立和歌山2番手・米田から5番・成田のタイムリーなど打者8人で4得点を重ねて逆転に成功。6対3と主導権を伊香が握った。
 追いつきたい市立和歌山は7回に3番・松川の犠牲フライで1点を返し6対4とするが、伊香の久保田の粘りの投球で追撃を封じられる。なかなか逆転の流れを掴めない。
 伊香は2番手・藤井を投入するなど継投策で市立和歌山打線を躱していくと、最後は再びマウンドに戻ってきた久保田が市立和歌山を抑えてゲームセット。6対5で伊香が市立和歌山を破る結果となった。
 市立和歌山相手に勝利した伊香ではあるが、エラー3つ、2投手で四死球9つという結果が残っている。中盤の集中打で勝ち越しに成功したが、課題はある。収穫と課題をともに確認した1試合目となった。