横浜高校が極端な守備シフトなどに苦しみながら、7回コールド勝ち。
プロ注目スラッガー・万波中正(まんなみ・ちゅうせい)中堅手(3年)も2安打を放った。
球場の観客全員が待ち望んだ快音だった。
「6番・中堅」で出場した横浜・万波は、2点リードの6回先頭で左前に痛烈な一打を運んだ。
「打球方向は意識せず、低い弾道で強く打つことを意識しました」。
スローボールを徹底して内角に集め、打者の引っ張り方向に野手を集中させる“横浜シフト”を力で攻略。
打者一巡7得点の猛攻の足がかりを作った。

かつてのスーパー1年生だ。
2年前の夏。神奈川大会3回戦(対松陽)でハマスタのバックスクリーンを直撃する135メートル弾。
東の名門に現れた逸材は、高校野球ファンを魅了。
リリーフ投手も兼任した昨夏の甲子園も出場するなど、常に高い注目を浴び続けてきた。
試合前のスタメン発表。背番号13をつけた「マンナミ」の名前がコールされると
観客席から爆発的な歓声が巻き起こった。

しかし、最終学年を迎えて苦しんだ。
190センチ、88キロという規格外の巨体をもてあまし、打撃は正確性を欠いた。
今春の関東大会では登録メンバーから外れ、開幕直前のメンバー変更でかろうじてベンチ入り。
今大会も同様、大会直前にベンチ入り20人に滑り込んだ。

 この日は鋭いスイングで2安打し、復活ぶりをアピール。
3人態勢で視察したヤクルト・伊東編成部長は「シフトを敷かれるなど対策をされても
その上を行くバッティングをしてくれる」と大絶賛。
守備でも、3回にあわや中越えの長打という大飛球を俊足を飛ばして背走で好捕。
攻守に潜在能力の高さを見せつけた。
「とにかく優勝するしかない。チームの勝ちにフォーカスしていくだけです」と万波。
この男の活躍なしには、同校初の神奈川3連覇はない。

 ◆万波 中正(まんなみ・ちゅうせい)
2000年4月7日、東京・練馬区生まれ。コンゴ人の父と日本人の母を持つ18歳。
小2から野球を始め、中学では東練馬シニアで投手、外野手。
高校では1年夏、2年夏に甲子園出場。
高校通算38本塁打で、投手としても最速147キロをマークする。
190センチ、88キロ。右投右打。