F

花咲徳栄の練習は、延々と「一本バッティング」。
 練習を見て驚いた。
 長い時間をかけたアップを終えて、そこから先は、「一本バッティング」がえんえんと続く。
 準レギュラー組がポジションにつき、不動のレギュラーたちが試合形式で次々と打席に
入って打球を飛ばす。そうした練習が2時間でも、3時間でも、えんえんと続いていく。
 マウンドからは、綱脇彗が投げ、清水達也が投げ、打者たちが狙うのは、
その“ファーストストライク”。そのファーストストライクを、打者たちが次々にジャストミートしていく。


G

花咲徳栄(埼玉)は3年連続の選手権大会出場。昨年も一昨年も優勝した学校に敗退し、
甲子園の投手のレベルの高さを痛感した。その壁を乗りこえようと、昨冬から取り組んでき
たのが「ハンマートレーニング」だ。
 「一冬越えて、こんなに破壊力がつくとは」。夏前、岩井隆監督(47)は自チームの打線に
驚きさえ感じた。
 「破壊力」は昨夏以降、チームが掲げてきたテーマ。以前は、走塁やエンドランを絡めた
「スモールベースボール」を掲げていたが、一昨年の選手権大会は準々決勝で、
昨夏は3回戦で敗退。岩井監督は「150キロを投げる投手から連打は見込めない。
全国で勝つには長打や『怖さ』が必要」と痛感した。