「JR神戸駅辺りを歩き廻るたび、このままで良い訳がないと思いながら、ここのところ全く進んでいないことを申し訳なく思います。すべては私の責任です」(要約)と9月25日、Facebookに投稿した久元喜造神戸市長
10月8日に「神戸市役所」でおこなわれた市長定例会見で、その真意を語った。

【写真】どこかさみしい雰囲気の神戸駅前

1874(明治7)年に関西ではじめて鉄道が開通した歴史ある神戸駅。
だが、街の中心が三宮に移ったこともあり、たしかに今はどこかさみしい空気が漂っている。

神戸駅に限らず、街の老朽化が目立つ神戸市
必要なリニューアルが阪神・淡路大震災の影響で先延ばしになったこともあるが、これによる魅力低下は人口減少と関係がないとも言い切れない。

市長の投稿には、続いて「駅前整備に沢山の職員のみなさんが企画、実施に汗をかいてくれています」とある通り、神戸市は2019年から市内112のすべての駅に外灯の増加・ベンチの設置を進めるほか、拠点駅(垂水駅、名谷駅、西神中央駅など)の整備に取り組んでいる。

しかしその上で、「そんな取り組みに距離を置き、ひといろの面的整備にしか関心を持たず、ふんぞりかえっている組織を廃止、解体し、技術系部局の抜本的再編を行う必要があります」という意味深な文言でしめられた今回の投稿。

その真意を問われた久元市長は思わず苦笑し、「特定の部署を指しているわけではないが」と前置きしながらもこう述べた。

「かつては『株式会社神戸市』と呼ばれ、(ポートアイランドや六甲アイランドのために)山をけずり、そこにニュータウンを作る面的な街づくりをしてきた。しかしそんな時代はとうに終わっているのに、『面的整備が大事である』という意識がどこか、組織に残っている」

そして現在の神戸について、「成熟した都市である認識を持ち、『すでにある街をどのようにリニューアルするか』という細かい発想が必要。『面的整備が街づくり』という頭を切り替え、個々の区画に着目して丁寧に取り組むべきでは」と投稿の意図を説明した。

ストレートな物言いがときどき物議をかもす久元市長だが、古くなった社会システムの指摘には核心を突いたものも少なくない。
その発言に今後も注目したい。