「死ぬまでの間に、パートナーと法律的に結婚し、本当の意味での夫夫(ふうふ)になれれば、これに過ぎる喜びはありません」

そう語っていた「結婚の自由をすべての人に」訴訟原告の佐藤郁夫さんが、1月18日に亡くなった。

弁護団によると、佐藤さんは1月4日に脳出血で倒れて入院し、同月18日にパートナーのよしさんと妹が見守る中で亡くなった。享年61歳だった。

パートナーが倒れた時、よしさんが病院で受けた対応を永野弁護士は次のように語る。

「入院先で、よしさんが勇気を持ってパートナーであると告げたにもかかわらず、医師は『親族でなければダメだ』と目の前にいるよしさんへの病状の説明を拒否し、別室から佐藤さんの妹に電話をかけました」
「佐藤さんの入院先はHIV診療の拠点病院であり、多数のゲイ当事者を受け入れている病院です。その病院ですら、愛するパートナーの病状の説明を受けることもできない。こんな理不尽なことが繰り返されているのです。もはや医師の善意に頼ることはできません。法制度が必要なのです」

「同性同士の婚姻が認められることは、私が若いころに持っていた自分自身に対する否定的な気持ちを、これからの世代の人たちが感じなくてもよい社会にすることです」と、佐藤さんは2019年4月に行われた第1回口頭弁論で語っている。