>>924>>926>>929
好意的なご意見ありがとうだわ!タツオストーリー、すでに書き上げていたものをUPするわね
脱線部分もあるけどフィクションだからカンベンして頂戴ね。長文なので数回に分けるわ、お暇な時にどうぞ!

脳内配役は 
>>908>>914を参考にしてね

― 1973年・暮れ
多忙な中、久しぶりに午後から半日休みが取れたタツオ。TV番組の収録が2本延期になった為だった。
タツオは下宿を出て事務所が用意してくれたマンションに引っ越していた。
多忙で身の回りの事が出来ない為、広島から伯母の栄子が手伝いに来てくれとても助かった。
栄子はリサイタルやコンサート、授賞式など東京で行われる催しには顔を出し客席から見守ってくれた。
幼い頃タツオは「栄子と顔が似ている」と言われ、
「そういえば自分は父似でも母似でもないもしや伯母ではなく栄子が実の母なのでは?」と一人悩んだりしたのだ。
タツオは母が自分を出産した時の写真や、タンスの奥に仕舞ってあった自分の臍の緒の小箱まで探し出した。
自分が母方の祖父の若い頃にそっくりだと知り、祖父→伯母→タツオの顔が似ているのは隔世遺伝というものだと納得した。
このタツオの悩みは後に親族の間でちょっとした笑い話となった。

『情熱の証明(あかし)』の次のシングル『引きさかれた愛』はオリコン1位に輝いた。
つい先日出した『十字架に誓う』もヒット中だった。
しかし、先月発表になった残念な事実があった。今年は確実と言われたNHK紅白歌合戦への初出場は叶わなかった。
スターになった自分。大勢の女の子たちの割れんばかりの声援。自分を取り巻く沢山のスタッフ。自分の言動一つで動くマスコミ。
どんなに騒がれても芸能界に身を置いている我が身の孤独さに時折堪らない気持ちになる。タツオはまだ18歳の少年だった。
そんな時、ふと故郷の広島が恋しくなるのだ。

タツオ:「そうだ、げっちん(幼なじみの重本明)に電話してみよう。土曜の午後だ、家に居るかもしれない」
R R R R R ・・・《電話の呼び出し音》