【佐野稔の舞評論】宮原に足りなかった力強さ、銅オズモンドとの差は明らか

平昌五輪第15日(23日、江陵アイスアリーナ)フィギュアスケート女子フリーでショートプログラム(SP)4位の宮原知子(さとこ、19)=関大=はほぼノーミスの演技でフリー、合計ともに自己ベストの得点をマークしたが、メダルに一歩及ばず4位だった。

 1977年世界選手権(東京)銅メダリストでサンケイスポーツ評論家の佐野稔氏(62)が、女子フリーでメダルを分けたポイントを分析。4位とメダルまであと一歩だった宮原知子(さとこ、19)=関大=に足りなかったものとは…。
 4位の宮原と銅メダルのオズモンドの差は、明らかだった。
オズモンドはジャンプで失敗もあったが、それをカバーするだけのスピード、パワーを持ち合わせていた。
テレビでは伝わりにくいのだが、
スピードやパワーは審判に大きな影響を与える。

オズモンドはリンクをめいっぱい駆け回り、高く幅のあるジャンプを跳んでいた。これはパワーとスピードがなければできないことだ。
高く幅のあるジャンプは技術点のGOE(出来栄え点)を引き出すし、スピードに乗って氷の上を滑れば、演技点につながる。

 GOEの合計はジャンプのミスでマイナスがありながら、オズモンドが宮原を2・02点上回った。演技点も、5項目全てで9点台中盤だったオズモンドに対して、宮原は3項目が8点台にとどまった。言い方は悪いが、
外車のオズモンドと軽の宮原とで競争しているようなもの。
宮原は100%以上の力を出したが、及ばなかった。

 今後に向けて、宮原はまず力強さを身につけなければならない。
ジャンプの高さが今より1・5倍ぐらい出てくれば、得点も伸びてくるだろう。6位の坂本は、宮原とは正反対で海外勢に引けを取らないパワーとスピードがある。演技にうまみが出てくれば、トップ争いの常連になれるだろう。(1976年インスブルック五輪代表)