まだまだ人々の価値観が多様性を持っていなかった、1983年の話。

地方の小都市の、ビルの上階に入っている本屋で男子高校生が万引き
→店員に捕まる
→警察を待つ間に男子高校生がトイレに行きたいという
→トイレの外で見張ることにしてトイレに行かせる
→トイレの窓から飛び降りて男子高校生自殺
(外に他の足がかりなど無いので、窓から逃亡を試みたわけではない、
覚悟の自殺と思われる)

いや、これだけだったら「馬鹿だなあ」と思うだけなんだが、
何が後味悪いって、その男子高校生の万引きした本が薔薇族だったということ。
時代が時代だから、自分の性嗜好を認めるまでにも、万引きをするまでにも
色々な葛藤があっただろう。
決して、万引きが許されることではないことも分かっていて、
それでもどうしてもその本をレジに持っていくことができなかったんだなあ。
つかまったら、親にもバレると思ったら、絶望してしまったんだなあと、
想像してしまうと痛々しくて後味が悪い。