佳代さんは私のことを「パピー」と呼んでいましたが、
私には、彼女に対する愛情はほとんどなかった。手も一回しか
つないだことはないし、キスすらしていません。
婚約したのは、圭君に対する気持ちのほうが大きかったかもしれません。
佳代さんはしょっちゅう「圭ちゃんがこの先、父親のいない母子家庭だと
言われ続けるのがかわいそう。肩身の狭い思いをしないためにも、誰かいい人が
父親になってくれないかしら」と、言っていました。その言葉を受けて、父親代わりに
なろうと考えたのです。
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