(羅刹さん=仮名・30歳・土方)

 年末、近所の商店街を歩いていると、お店の人たちの声が響いていました。
 「数の子いかが?」「泡を吹くほど安いカニだよ」などと、威勢のいいセリフが四方八方から聞こえてきます。
 そんな中、今どき珍しいバナナの叩き売りをしているおじさんがいました。
 丸めた新聞紙でバンバンとテーブルを叩く軽快なリズムから、かなりのベテランだと分かります。
 「そこのお兄さん、旦那より太いバナナで満足しな」
 こんなことを言われた私は、恥ずかしくて顔を赤らめてしまいました。
 「この太さと重さで298円だ。持ってけ、泥棒」
 強引な男性には弱いので、つい差し出されたバナナひと房を受け取ってしまいました。
 「これ、1本、おまけな」
 後から渡されたバナナには、なんとマジックでケータイの番号が…。

 不仲な夫とは別居中。何もないと感じていたむなしい私の心に、欲望の火が灯りました。商店街が静まった頃、店の前に立ち、震える手で電話してみます。
 「よう、連絡待ってたぜ。今から来なよ」
 彼は普段、空き家になっている実家に年末年始だけ帰り、さまざまな商品を売っているそうです。夫のような堅いサラリーマンから外れた生き方にどこか憧れを抱いていたのでしょうか、私は店の奥で抱きしめられても無抵抗でいました。
 好みじゃない風貌で、さらに酔っぱらっていてもキスはとても上手。頭がボーッとなっている間にパンティーを脱がされて…。

 「結構、毛だらけでしょう? 恥ずかしいわ」
 陰毛が濃いのが劣等感だったけど、思い切って全部見せました。
 「俺のかわいい子猫ちゃん、全く普通の毛並みだから気にすんなよ」
 彼は私を安心させ、男性器をペロペロと舐めながら日本酒をチビリと飲みます。それからバックで挿入され、お尻を手で思いっ切り“パーン”と叩かれました。
 出会ったばかりなのに結ばれるなんて、まさに“ケツの叩き売り”です。奥を突かれる快楽と痛みのコラボも新鮮でした。
 「あああ…。痛いけど気持ちいい! もっと叩いて」
 「感じすぎたかい? でも、若い子がそれを言っちゃぁおしまいよ」
 リズミカルな腰の動きに呼応するように、お尻を突き出し「好きにしてぇ〜」と叫んで頂点に達しました。もう、黒いバナナの虜です。