20年目の情熱大陸「ハタチの天才4部作」は“情熱あるある”を超えていたか?

ポスト井山裕太の「失意」をどう撮ったか

 被写体とディレクターの関係性に唸らされたのは「囲碁棋士 一力遼」だ。
ポスト井山裕太の一番手として期待される一力さんを追ったこの回は、取材中、被写体にまったくいいところがなかったという、珍しいケースである。
「情熱大陸」は基本的に成功者の物語であり、そこに番組の強みと弱点が共存していると思うのだが、取材期間中被写体が一度も勝てない、というパターンはほとんど見たことがない。
これはある意味で「おいしい」とも言えるが、それは結果論であって、その過程にディレクターとして立ち会うとなると気が重くなってくる。
しかし三木哲ディレクターは、辛い状況にある一力さんと正面から向き合い、人間関係を良好に保ちながら、被写体の感情の揺れをカメラに収めた。
番組の終盤、国内トーナメントで敗れた後に、動揺から目が泳ぐ一力さんの無言の表情。その後のインタビューでの「自信を持てているか」という問いから一力さんの答えへの流れは、確かな見応えがあった。

http://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180513-00007361-bunshun-ent&;p=2