②佐野邦雄=栗田隆史の裁判傍聴記

  被「それは小一の頃に、出来たり出来なかったりで診断書とはちょっと違う。 友人もあまりないと言ったから、そう書かれた」
    「中2から不登校、中2夏休み明けから中3は学校に行ってない、定時制は1年でやめた、現在は予備校に通う」
  弁「子供の頃から、動物をどう思ったか」
  被「とても好きだった」
  弁「なにかペットを飼っていたか」
  被「犬とハムスターとモモンガを飼っていた」
  弁「近所の家の猫などをどう思っていたか」
  被「上京するまでは、猫とかは好きだった」

ここで被告人は、自分がまとめたメモを読みたいと主張したが、記憶のみで話すよう裁判官に言われる。

  弁「どうして猫が嫌いになったか」
  被「近所の猫はかわいかったが、猫は肉食動物で、小動物を残虐に殺すことを知って、だんだん猫が嫌いになった」
  弁「猫が雀を食べたのを見てとあるが、どこでいつ見たのか」
  被「飼われている猫の家の屋根で止まっている雀を狙っているところを見た。
    19歳頃、猫が雀を残虐に殺して、さも自慢げな顔をしているのをネットで見て許せなくなった」
  弁「自分が一度こうと思いこむと、固執する性癖であると知っているか」
  被「自分では自覚はない」
  弁「通院していたのは、なんという病気のためか」
  被「アスペルガー症候群と急性一過性精神障害。 抗うつ剤の副作用とアスペルガーの思いこみが高じて深く考えてしまうようになった。
    それで猫を殺す最悪の条件が揃った」
  弁「平成18年4月に薬を変えているのは」
  被「4月から主治医が変わり僕のことがよくわからない状態で抗うつ剤を処方された。 アスペルガーに加え、さらにエネルギーが出るようになった」
  弁「それまでにも、思いこむと固執することはあったか」
  被「あったと思う。8月頃やっと自分の症状がわかった」
  弁「今回の事件で、浴槽に水は」
  被「張っていない、靴は履いていた」
  弁「10回未満踏みつけたのか」
  被「はい」
  弁「死骸を傷つけたことは」
  被「最後に強く踏みつけたが、その後死体は傷つけていない」
  弁「何の罪もない猫を殺してしまったことについてはどう思うか」
  被「罪が猫にあるかどうか正直な話、猫がいると小動物が殺されたりするので、見せしめのためネット上に写真を出した」
  弁「その猫が小動物を殺したわけでもないのに?」
  被「はあ・・ 大変深く反省している。 もう二度とやらない」
  弁「殺したことは、やっぱり悪いことをしたと思わないか」
  被「殺したときは、罪悪感を感じた」
  弁「今は?」
  被「反省している」
  弁「今後社会復帰したらどうするか」
  被「いろんなことを学んで社会の役に立つ職業につきたい」
  弁「まず病気を治し入院して、それからお母さんと暮らすつもりがあるか」
  栗田隆史 被告:同意