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5月1日から食卓に欠かせないパンや納豆など、値上げが相次ぎますが、中でもチーズは3年ぶりとなる大規模な値上げが行われます。
背景には、原料価格の高騰がありますが、産地では一体何が起きているのでしょうか?

ベーコンとチーズが香ばしい、熱々のグラタンを出すのは、都内の専門店です。
おいしさの決め手は、牛乳をたっぷり使用したホワイトソースですが、店長にはある不安が・・・

「今のところ、業者さんの頑張りで(価格を)抑えてもらっているが、
上がったら結構、私どもきついところはある」(ドリア&グラタンなつめ 大畑直樹店長)

牛乳の原料となる生乳の価格は、この10年で1.3倍に上昇。背景にあるのは、“酪農離れ”です。
生産者の高齢化は加速。一方で、重労働のわりに儲けが少ないため、
後継者が不足し、酪農家の数は急減しました。それに伴い、生乳の供給も1割減ったのです。

この影響はメーカーを直撃。雪印メグミルクと森永乳業が5月1日、およそ3年ぶりにチーズの大規模な値上げに踏み切ります。

「チーズ好きなので困る」(女性)

消費者にはつらい値上げですが、生産の現場では深刻な事態が起きていました。
北海道で酪農を営む、船倉さん(71)。酪農に危機感を持つ仲間達と、ある行動に踏み切りました。

「家族経営には限界が来ているので、株式会社化した」(サンクローバー 船倉重信社長)

会社を立ち上げ、大規模経営を開始。えさを与えているのは、ロボットです。
生き残りをかけて、徹底したのは効率化。その切り札がこちら、まるでメリーゴーランドのようですが、実は牛のお乳を搾る専用機なんです。
重い器具を持っての移動は大きな負担でしたが、これなら動き回らないですみます。
操作は簡単で、作業時間も短縮。生産量は3倍に増えました。それでも・・・

「全てのものが値上がりしているので、今のところ先行き不透明なところがたくさんある」(サンクローバー 船倉重信社長)

コスト削減を上回る勢いで、人件費やエサ代などが高騰。わずかな生乳価格の上昇では、経営は改善しないといいます。

酪農家の生活を守るため、国も動きます。小売店で特売の目玉とされやすい牛乳に、
販売のガイドラインを作りました。過度な安売りに歯止めをかける狙いです。ただ・・・

「我々も(生乳価格をもっと)値上げしてもらいたい。けど(消費者が)乳製品から離れられるのは恐ろしい」(サンクローバー 船倉重信社長)

経営を続けるために必要な値上げ。しかし、消費者の乳製品離れのきっかけとなりかねず、生産者の苦悩は続きます。

4月30日
tbs
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