バタン!
ワユ「大将、産まれたの!?」
ミスト「皆無事!?」
ユミナ「ほらほら、気持ちはわかるけど騒がない」
ナターシャ「今は皆さんを、ゆっくり休ませてあげないと」
イレース「あ……ごめんなさい……」
アイク「そうか……産まれてくれたんだな……」
一同『!!!』
アイク「……? みんな、どうした?」
セルジュ「アイク……自分の頬、触ってみて」
アイク「む……(パシャッ)……濡れて?」
エーディン「はい」つ鏡
アイク「これは……俺は、泣いているのか……」

 鏡に写る自分は涙を流していた。強くなるため鍛えた頃から、泣くことはないと思っていたのに。

エーディン「嬉し涙を恥じる事は無いわ、ましてや子供が産まれた時だもの」
アイク「そうか……」
シャンブレー「むしろ、俺はとても嬉しいよ」
ジェローム「そうだな、普段強い父が涙を流してくれた程誕生を喜んでくれたのなら、とても誇らしい」
アイク「そう……なんだな……元気に産まれて来てくれて、ありがとう、そしてセルジュ、ベルベット、産んでくれてありがとう……愛してるぞ……これからもずっと」
セルジュ「ええ、私もよ」
ベルベット「これからもずっと、あなたを愛するわ、愛しい旦那様」

病院の外

ナギ「アイクさん……」

 たまたま遊びに来ていた際、出産の報が入り、一緒に立ち会った彼女、周りが騒然とするなか、自身はどうすれば良いのかと思っていると、アイクが到着した。今まで彼とは何度も関わってきたが、今日は今までにない姿をみた。
 表情こそあまり出さないが、2人を案じ慌てる彼、安堵の末涙する彼、妻子達を慈しむ彼。
 そんな姿を思い出すと、次第に胸が暖かくなるのを感じる、眠気とはまた違う、ふわりとした心地よさ。

ナギ「私、やっぱり…………私も、勇気を出すときでしょうか?」

 星空を眺めるその目は、いつもの眠そうとは違い、決意の色を持って細められていた。

白暗夜家

ミコト「無事に産まれたそうですわ」
ガロン「そうかそうか、でかしたのう義息子よ、本当にめでたい」
シェンメイ「そうですね、こちらからも、お祝いを贈るべきでしょうか?」
ガロン「ふむ……祝い、祝いか……」
シェンメイ「ガロン様?」
ガロン「ミコトよ、義息子の方は現在家事はどうなっておる?」
ミコト「ふふ……ミストさんを始めに分担して頑張っているそうですが、やはり筆頭であったセルジュさんが暫く離れるので、多少まごつく処があるそうですわ」
シェンメイ(あ………)
ガロン「ふむ、それは大変じゃのう、ミコトよ、我が家で働くメイドの内、何人かを派遣し、向こうの家事を手伝わせようと思うのじゃがどうかの?」
ミコト「それはいいですわね、早速希望をとりましょは、う基準は……向こうの方々が接しやすいように20代から30代前半辺りの優秀な方を選びますわ」
ガロン「うむ、善きに計らってくれ、くくく……楽しみじゃのう」
シェンメイ(やはりこの欲求は、再現ないお方、我が妹もそうだけど)

 神将家は、まだまだ賑やかな日が続くようだ。

終わり