鎮守府から逃げ出したでち公の集団が山奥で村を作って生活している。
その情報を入手した我々取材班は、真実を確かめるべく海軍の『浄化部隊』に同行して
人里離れた山の奥深くに潜入した。
道なき道をかき分け、鬱蒼と茂る森の中を進むこと三時間、我々は最初の目的地に到着した。
地図によるとここには昔集落があったが、現在は無人の廃墟と化しているという。
ここにでち公どもが逃げ込み、建造物を占拠してでち公だけの村にしているという話は本当なのか?
我々は浄化部隊の指示に従い集落跡から少し離れた場所で隠れて待機した。

一時間ほど経過しただろうか、集落跡の方から何やら話し声が聞こえてきた。
どうやら数人ほどの集団がこちらに向かっているらしい。
我々は息を殺して声のする方向を注視すると……いた!
間抜けな面をしたでち公が五体歩いて来るのが見えた。
「今日は近くの村まで行っておいちいごちそうをいっぱい持ってくるでち」
「ここは誰にもみつからないからいい所でち」

連中の会話から察するに、鎮守府を逃げ出したでち公どもは近隣の村から食料を盗んでいるらしい。
兵役の義務を放棄して略奪に走るとは何という屑どもか。
我々が怒りに震えていると、浄化部隊の隊員が我々に耳打ちし、これからあのでち公どもを『浄化』するので
気づかれないように静かにしてほしい、またその様子をしっかり撮影してほしいと言ってきたので我々は従うことにした。

呑気に笑いながら歩く害獣でち公。
浄化部隊の隊員たちはゆっくりと音も立てずにでち公どもを包囲していく。
そして、でち公どもの背後をとった隊員が一番後ろにいたでち公に近づくと
見るも止まらぬ速さででち公の首に腕を回してナイフで首を掻き切った。

でち公は首から血のシャワーをまき散らしながら隊員の腕の中でもがいたが、
口を手でふさがれているので叫ぶこともできず、しばらく痙攣すると動かなくなった。
前のでち公どもは背後の事態に気づくこともなく会話をしながら歩き続けている。
我々は包囲を狭めつつある部隊が次はどのようにでち公どもを料理するのか
注意深く取材を続けることにした。