オレが小学校の頃だった。

友達とそいつの父ちゃんと3人でニジマスの管理釣り場に行ったんだ。釣りの帰りに友達と別れて帰宅する途中、図工の先生と偶然会った。
先生は釣果を見せてくれと言うので数匹のニジマスを見せたら「マスは釣るもんじゃなくてかくもんだ」と言って帰っていった。
まだ小学生だったからその意味がわからなくて改めて図工の先生に聞いても「そのうちわかるから慌てんな」と笑いながら言われた。
そして小学校を卒業して中一の夏休みに、遂にマスをかくと言う意味がわかった。
なんかその時、チャイムの音が聞こえたんだ。夜遅い時間だったからチャイムが鳴るということはあり得ないのだが確かにチャイムの音が聞こえた。

今思うんだけど、その時図工の先生と俺との授業が終わって先生が本当の卒業を認めてくれたんじゃないかと思ってる。
先生のエールがチャイムとなって俺の心に届いたのかもしれない。