それまでいなかった外来種が侵入した時に、すぐに対策が取られることは稀です。「きっと定着しないだろう」「定着しても広がらないだろう」「他のいきものに影響はないだろう」、といった判断を根拠なくおこない、
対策をとらないのは、正常性バイアスのせいかもしれません。(行政の場合は「事なかれ主義」とも言えますが)
 あるいは、もっと悪質な場合は「外来種もいずれ生態系に取り込まれて安定する」という詭弁が使われることもあります。「生態系」というのは、構成員が在来種であろうと外来種であろうと、
相互作用によって成り立つ「系」なので、外来種ばかりになっても「生態系」です。侵入当初に大きな変化があっても、いずれは安定するかもしれませんが、その時点で在来種がいくつも滅びてしまっては、大きな損失です。したがって、「生態系はいずれ安定する」というのは、
耳あたりが良いだけで何の意味もない詭弁であり、問題は、元々その地にあった自然がどのように変化し、どういった在来種が減少もしくは絶滅するかということです。