薄暗くなった静浦防波堤からの帰り道
ふいに右側の入江がきになりバイクで入っていった
ほぼ行き当たりに四、五メートルくらいのタンクのある手前あたり
海水面を覗いてみた そこにはいままでみたこともない尾っぽを
ゆらゆらとゆらし あえていえば金魚のコメットよりも長い尻尾をもった
魚がおどろくほど群泳していた 何だろうこの魚は と左側に若い男が
あらわれ おもわず私は聞いた「この尾の長いのはなんでしょう?」
するとその者は答えた「幽霊」 わたしは何といってよいか言葉につまり
ゆらゆら泳ぐ魚を見つめていたが すぐ左を見ると 男は消えるように
いなくなっていた
いまでも気になる 地元ではあの魚は幽霊とよばれているのか それとも
あんなにはっきり見えた男がじつは自己紹介したくてあらわれたのか
いまでもわからない