医療廃棄物の中には、針が装着された注射器や血液のような赤褐色の不明液体が残存した医薬瓶など、感染リスクが懸念されるものも見つかった。
山口座長は特にプラスチック素材の注射器類は構造的に軟弱で、漂流・漂着中に破損・破片化するものが大半だと指摘し、「主な食物連鎖の場である砂浜や干潟、湿地水域の海生生物への感染リスク」を懸念した。

 廃ポリタンクの大半は韓国製が占め、2〜3割に液体の残存が確認された。中には鉛やヒ素など有害元素が高濃度で溶存しているものや、発泡性や臭気性の高い危険な液体もあった。
過去10年の調査で確認した廃ポリタンクの総数1020個のうち、405個が西表島に集中していた。

 調査を踏まえ山口座長は、沖縄で確認した海外漂着廃棄物の大半が中国や韓国など、近隣アジア諸国から流れ着いたものだと指摘する。
国家間で共通認識を持ち取り組むことが最も望ましいが「現状では迅速に発見して回収除去する以外に有効な対策はない」という。
豊かな自然環境が資本の沖縄にとって海岸は「生命線」であり、ないがしろにすると経済面での打撃も受けかねないと忠告。その上で「県や関係自治体が海岸漂着ごみの専門組織を設けるなどし、もっと真剣に取り組むべきだ」と訴えた。(當銘千絵)

琉球新報社

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