会社において同僚に対して名誉毀損的な表現をしてしまったとして損害賠償請求を
受けておられる方で、当事務所までご相談に来られた方の中にも「本当のことを言っ
ただけなのに、なにを名誉棄損などと騒いでいるのか」というような趣旨のことをお
っしゃられる方もおられますし、インターネット上のコメント欄などではその傾向は
さらに顕著です。

 しかし、名誉毀損における保護法益は、「人の社会生活上の評価」であるとされて
おり、その人の社会生活上の評価を低下させるにあたって、真実を述べたのか虚偽の
事実を述べたのかということは、あまり関係がないものとされているのです。

 そのため、たとえ本当のことであっても、一般的に他人に知られたくないような、
社会的評価を低下させるような事実をむやみやたらと吹聴することは、その真実性に
関わらず名誉毀損罪の罪責を負うこととなり、民事上も名誉毀損に基づく損害賠償義
務を負うこととなりかねない非常に危険な行動であるということが出来るのです。