>>791 続き
 しかし、富裕層に課税するだけでは不十分だ。このような極端な富や所得の集中は、社会の分裂につながりやすい。富と所得の分布を適正化するためには、頂点にたつひと握りの人々が不相応に多くの富を抱え込むことを最初から防ぐような政策が必要だ。労働組合を強化し、強制仲裁や非競争契約といった手段で雇用主が従業員を思いどおりにコントロールするのを防ぐため、労働法を抜本的に改革しなければならない。元労働長官のロバート・ライシュが書いているように、従来型の税金と再分配の仕組みと同じくらいの「事前分配」の仕組みが求められる。労働組合を強化し、強制仲裁や非競争契約といった手段で雇用主が従業員を思い通りコントロールするのを防ぐため、労働法を抜本的に改革しなければならない。免許制度や知的財産法を改革すれば、寡占状態を解消し、企業がこうした法律を使って競争を阻害し、国民からお金を巻き上げるのを止めることができる。また労働者が容易に団体交渉をできるようにし、さらに就業保障、公共投資、優れたマクロ経済政策の実践を通じて第二次世界大戦中のような堅調な労働市場を取り戻し、労働者の賃金や福利厚生を改善しなければならない。
 そのような改革が実現するまで、民主主義の不足によって「カネで大学に入学できるような教育制度、議会を買収できるような政治制度、カネを積めば刑務所から出られる司法制度、そしてカネがあれば他の人々には手の届かないような治療をしてもらえる医療制度」が存続することになる。