>今後さらに円安の影響による物価上昇なりインフレ率の高止まりなりが想定される現在

すごく基礎的なことなので、口が酸っぱくなるほど私は言ってるんですが、円安では物価は上がらないんですよ。
同様の発言は植田日銀総裁もそう言っていたはずですが・・・。
おそらく、植田氏の発言の真意が、よく分からなかったのでしょう。

現在の物価上昇が始まったのは2022年、つまり一昨年のことです。
しかし、円安が始まったのはその9年前の2013年です。
その9年間物価はほとんど上がっていません。
つまり、現在の物価上昇の原因は円安では全くないってことです。

物価というのは一種の弾性を持っています。
これは、特定の商品か、あるいはまとまった商品群の価格が上がって、一時的に物価が上がったとしても、弾性によってすぐに戻されてしまうということです。

どういうことなのか?例えば、ある商品の価格が値上がりしたとします。
まず、消費者が採ると考えられる行動は「高くなったので買わない」という行動です。
買われなくなったその商品は売れなくなり、また値下げせざるを得なくなります。
つまり、物価は元に戻ってしまうのです。
もう一つは、致し方なく消費者がその商品を買った場合ですが、その消費者の購買力が増加していない場合は、その消費者は高くなった商品を買った分だけ、他の商品を買い控えます。誰だって、無い袖は振れないんですよ。
そして、売れなくなった他の商品が、値上がりした商品の分だけ値下げせざるを得なくなり、ここでも、一時的に上がった物価はすぐに元に戻ってしまうのです。

では、物価が上がるというのはどういう状況なのか?
値上がりした商品を買った消費者が、他の商品を買い控えないとき、つまり消費者の購買力が増加した時です。
あるいは、もっと強力な消費者が現れて、値上げした商品も他の商品もごっそりと買った時です。

強力な消費者とは、政府であり企業のことですが、ようするに、よほどの供給不足でもない限り、消費者や需要サイドに変化がない限り物価は絶対に上がらないのです。
したがって、円安では物価は上がりません。
円安が進行していた2013年から2022年まで物価が全然上がっていなかったことが何よりの証拠です。