藤森マリー著ソエジ監修の『カバールの正体』が発売か。
実にヒドイ本だ。シェイクスピアの正体はフランシス・ベーコンだというのは
昔から一部で言われているし、珍しいものではない。ベーコンがエリザベス1世の
隠し子だと推測をふくらます手合いにしてもそうだ。推測するのは自由だしな。
しかし、チューダー朝のころからすでにカバールが存在していたとなると、れっきとして
妄想や邪念となる。カバールは英国王室とローマ教皇庁と宮廷ユダヤ人の合作とマリーは
言ってるが、ヘンリー8世以後、英国王室とバチカンとは絶交状態だったのは世界史の常識だし、
シェイクスピアが『ベニスの商人』を発表したころにはユダヤ人は全員国外追放の処分を
受けていた。こんなところからしてカバールがどうのこうのとわめくのが愚の骨頂だとわかる。
マリーの本は徹頭徹尾でたらめで、それを「監修」したソエジも同断だ。

域を脱して