コロナショックで日銀が危ない 株暴落で揺らぐ健全性
  藤巻健史〈週刊朝日〉

「新型コロナウイルスの感染拡大で日本経済が非常時モードに突入しているのに、政府も日銀も打つ手がない。
財政や金融政策をすでに極限まで実行してしまっているからです。
このままでは、日銀が債務超過になるリスクも出てきます」
こんな厳しい状況で心配されているのが、日銀の財務の健全性だ。
日銀は株価指数連動型上場投資信託(ETF)を通じて、
日本企業の株を買いまくっている。
買った総額は2019年9月末時点で、31兆6112億円(時価ベース)に上る。
その後も買い入れているので、総額はさらに膨らんでいる。
3月からは株価を買い支える思惑もあって、1日当たりの
買い入れ額を約700億円から約1千億円に増やしている。
ETF買い入れ実績をもとに計算すると、日経平均株価が
1万9500円程度を下回れば評価損が発生するというのだ。
ざっと計算すると日経平均株価が1千円下がると、
約1・2兆円含み益が吹っ飛ぶことになる。
「日銀は、本来買ってはいけない株や長期国債を大量に買っている。
いわばアベノミクスの副作用で、“膿”がたまっている状態です。
コロナショックが最後の一刺しとなって、あふれ出る恐れがある。
これまで平時だったのに、財政出動や異次元の金融緩和をやり過ぎたんです。
いざコロナショックが来た時に、切れるカードがもはやないのです」