・・・今回は、歳出削減を諦めた陣営の拠り所である「経済成長による税収増加による借金返済」が「絶望的である」事を、特に強調しておかなければなるまい。


1)引用記事において指摘されているように「政治的に無理」であるという点。

・・・2)そもそも「経済成長」といってもこれが簡単に達成されるならば、どの国もどの企業も苦労はしない。「経済成長」を念仏のように唱えても、経済成長は成されない。

少なくとも官主導の「産業」が、歴史的に見ても惨敗続きで、税金の寄生虫を生み出すだけの顛末に堕して来た経緯(実質的な社会主義)や、現下の許認可制度や労働規制による産業の硬直性と生産性の低水準を見れば、

「官の撤退」つまり「規制緩和」「官から民へ」という方針による再生化と新規起業の促進、生産性の向上以外には、経済成長を上昇させる策はない。

しかしながら「規制緩和路線」に舵を切ってもその結果が出るとは限らない上に、短時間でその成果が上がるとも考えにくい。そしてここにも「政治的困難」の壁が立ちはだかり、「規制緩和」の実現は殆んど不可能であるときている。

3)現在の財政状況、つまり国債の低金利とその国内消化を可能にしているのは、要するに「不景気」である。つまり「不景気の脱却」は、即「金利の上昇」と「金融機関の国債離れ」を引き起こす。

これを飲み込むほどの税収の伸びや経済成長を達成しなければ、国債の金利上昇だけで国家財政は容易に破綻する。
下手な「景気回復」をすれば、途端に国家財政が破綻してしまう、という何とも皮肉な状況に我が国は置かれているのだ。

そうしてこういった絶望的な条件と結論から、「リフレ」や「国債無問題論」といった妄想じみたヤケクソの話までが出現するに至っている。

こういった系統の連中には、本気で「国債無問題」と考えている暗愚な者、デフレだから金を刷ってばら撒けばインフレになって解決するなどと短絡する阿呆、
確信犯的に「シニョリッジ政策」なる意図的インフレーションによる強制徴税、つまり「焼け野原論」を掲げる者などが混在している。これらは、全く論の外の話である。