最近、企業の貯蓄は大きく積み上がっていますが、その背景は様々です。
例えば、リーマン・ショック時の資金繰りの厳しさがなお記憶に残る中、将来の危機に備えて、稼いだお金は取り敢えず手元に確保しておきたいとの声があります。

国内の期待成長率が低く、設備や人材に投資しても十分な収益が得られないことを理由に挙げる先もあります。
しかしながら、わが国の景気が着実に改善し、先行きも拡大を続けることが見込まれる中にあっては、こうした理由が貯蓄増加の主因とは言えないように思います。

むしろ、最近の企業収益の増加テンポが急速であっただけに、企業からみれば「予想外に」貯蓄が増えてしまった面があるように思います。
そうだとすれば、こうした貯蓄は、ある程度のタイムラグをもって、今後、設備投資や賃金の引き上げに使われていくと考えられます。