実はこれでも不十分である
なぜ、資本というものを労働者が一意的に管理し、生産を安定的に増やすことが出来ないのか?
あるいは革新的な発展が不可能なのか?
これに対して、従来の非共産主義的な古典派系の経済学は答えられない
その問題は、「合理的経済人」という人間のモデルにある
これは「人間は基本的に合理的に行動し、行動を変える場合も、
必ず一定の価値判断によってのみ行われる」という極めて一神教的な理想化された人間像である
だが、実際の人間は、こんなロボットのような動きをしない
極めて主観的であり、しかも気まぐれである
「聖書」に書いてあるとおりに行動する人間など、実際にはいないのである

これがアンチ共産主義の経済学者のアキレス腱になってしまっている
面白いのは、共産主義者も同じ考え方をしていて、
この合理的経済人を前提にしてしまうと、
理論上は共産主義が圧勝するのである

   そして共産主義者たちはみな、「ロボットのように動く合理的経済人には共産主義が正しい。
   すなわち資本主義は滅びる」と勘違いするのであった