菊池英博 「ゆうちょマネー」300兆円がアメリカに略奪される

――第二次安倍政権の誕生によって、再び「ゆうちょマネー」略奪の危機が迫っています。

菊池 「ゆうちょマネー」略奪は、アメリカの一貫した目標です。アメリカの対日経済戦略を主導してきたケント・
カルダーは、すでに1993年の論文で、「日本の公共投資として活用されている『ゆうちょマネー』を日本に使わせない
ようにし、それをアメリカのために使おう」と提案していたのです。対外債務国に転落したアメリカは、自国の国債の
安定購入先として「ゆうちょマネー」に目を付けていたのです。
 1994年から始まるアメリカの年次改革要望書で、郵政民営化は毎年要求されるようになりました。この年、小泉純一郎
氏が『郵政省解体論』を刊行したのは、決して偶然とは思えません。
…(略)…小泉首相と竹中平蔵担当大臣は民営化の経済的メリットを巧みに訴えました。
 彼らは、郵政公社民営化によって、公的部門に流れていた資金を民間部門に流せば、経済は活性化すると繰り返し述べ
ていました。しかし当時から、銀行と信用金庫、信用組合などには資金が有り余っていました。「ゆうちょマネー」の
民営化はかえって金融攪乱要因となることは、最初から分かっていたのです。

 菅氏は小泉政権時代、竹中平蔵総務大臣の下で副大臣を務め、同氏が辞任後に総務大臣に昇格した人物です。菅氏らは、
自民党内で外資派と呼ばれる議員であり、外資の利益を優先して日本郵政の金融資産を外資に売り渡そうとする政策に賛同
している政治家と見られています。
《続く》