週刊エコノミスト 2016年6月7日特大号
ttp://www.weekly-economist.com/2016/06/07/%E7%9B%AE%E6%AC%A1-2016%E5%B9%B46%E6%9C%887%E6%97%A5%E7%89%B9%E5%A4%A7%E5%8F%B7/
日本の農業は“過小保護” 農林中金の利益が生産に必要 ■菊池 英博
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 自民党農林部会長の小泉進次郎氏は「農業をもうかる産業へ変える」と宣言し、日本農業に新時代を開こうとする意欲が感じられる。
 マスコミが報じる小泉氏の主張のうち、とくに印象的な発言は「農業は弱者ではない、補助金を多くとろうとすることから発想の転換
が必要だ(日本の農業は補助金漬け)」と「農林中央金庫の貸出残高のうち農業に回っているのは0・1%だ。そんな農中はいらない」
であろう。しかし実態を見ると、日本の農業は過保護どころか、過小保護であり、農中が日本農業を支えていることが分かる。日本の
農業改革を進めるにあたっては、実情を踏まえた方向性が必要であろう。
     (中略)
 主要国ではどこでも農中と同様の農業金融の中核機関が存在しており、仏にはクレディ・アグリコル(同国2大メガバンクの一つ、
預金高約200兆円)、米国には地域の農業金融を最終的にまとめる連邦農業金融組織がある。また、どこの国でも農業金融での
運用益を農業生産部門の赤字補填に使っている。
 組合員へ融資するのはJAバンク(農協の銀行部門でJAマインズと呼称)であって、農協法第10条によって(組合員の事業又は
生活に必要な資金の貸し付け)を行っている。農中の業務範囲は「組合員の預金の受け入れ、会員に対する資金の貸し付け又は
手形割引」(農中法第54条第1項)に限られており、農中がJAバンクの組合員である農業者へ直接融資することは極めて少ない。
したがって「農中は農業関連融資が0.1%しかない」のは当然である。
     (中略)
<続く>