週刊金曜日 2019年3月8日号
「消費税の5%以下への減税」を求めることに賛成? 反対?
財政危機神話という緊縮思想の打破を 朴勝俊
ttp://www.kinyobi.co.jp/tokushu/002764.php
ttp://www.kinyobi.co.jp/tokushu/docs/1223.pdf
 これは以前から高橋洋一氏や森永卓郎氏らの著書で論じられていたことだ。それに加えて、今回のIMFリポートのように地方政府や
政府関係機関を含めた「公共部門」で見れば、さらに状況は改善し、純債務はほぼゼロとなり、主要国の中でも優良な部類となるのだ。
 なお、このように日銀が400兆円を超える巨額の国債を保有し、日本の財政を大いに健全化させるに至ったのは、13年以降の大規模
な量的緩和(国債買い上げ政策)の結果に他ならない。

 現在の主要国の通貨制度は債務貨幣システムだ。日本の場合、通貨(マネーストックM3)の1割未満を日銀が現金(日本銀行券)
として、政府の債務(国債)を裏付けにして発行し、残りの9割以上を民間銀行が、貸出しを行うと同時に無から創造している。
これは望ましいシステムではなく、政府がマネーストックの全てを供給・管理する方がずっと良いかもしれない。
 なぜなら、債務貨幣システムでは、不況期に民間や政府が債務を減らせば通貨が減って景気がさらに悪化するし、貨幣供給を
十分な水準にするには政府が国債発行を増やさざるを得なくなるからだ。国債発行自体は、本当は心配無用だ。政府の国債を
日銀が買い上げれば、それは「統合政府」の中のやり取りになって、世の中からは消えてしまったのと同じになるからだ。
 これは暴論に聞こえるだろう。タブーなのだから。この通貨システムの全体を見渡すことは専門家にも容易ではない。そして政府の
会計、日銀の会計の一部だけに注目すると、それらの収支の悪化がすべて危機や破綻の兆候に見えてしまう。全体の把握が難しい
ため、経済論は簡単に「オカルト化」しやすく、勧善懲悪の「道徳論」に堕してしまいやすいのだ。
 では、現状で私たちはどうすべきだろうか。筆者は消費税が本質的に悪税とまでは考えていないが、物価上昇率が物価安定目標
(2%)に達していない限り増税すべきではなく、むしろ8%から5%へと引き下げるべきだと考えている。なぜなら、デフレ脱却こそが
税収を増やす道だからだ。