子供の頃から取り柄がなく誰か褒められる事なんてなかった。ただ絵だけは他の子より上手かったらしく何度も賞を取った
漫画を読んでいくうちに自分でも描きたくなった
クラスのリア充にオタクだと嫌味ったらしく言われてもpixiv上では褒められたし同人誌を作れば最低でも一人は買ってくれた
二次創作は自分の実力以上の評価を貰えるから嬉しいし楽だった
仕事もあんまり上手くいかないし交流も苦手だから黙々と同人に没頭した
やがて褒められる機会が増え、部数も増えた
同人で誰かに褒められ認められる上に楽しく小遣いを得られるなんて理想的だと有頂天になった
調子に乗っていたら人間関係でトラブル起こした
ストレスで胃に穴が開いて入院する時、私を心配してくれたのは家族だった
正月に片手で足りる程度の枚数の年賀状がきた。何年も会っていない子もいるが皆リア友だった
数は少なくとも自分を覚えてくれている人がいる
ただそこに同人関係者はいなかった
なんだか急速に冷めた
何を馬鹿な事をしていたんだろう作家ごっこに年単位の時間と何百万というお金を使い込んで得たのは下らない思い上がりだけじゃないか
それに気付いた時、もうやめようと決意した
やめたらびっくりするほど毎日が穏やかだ
今度友人と美術館に行くし、この春には愛する人と結婚する
同人がなくても幸せになれるんだとようやく気付いた