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【悲報】無職板終わる
0036名無しさん@毎日が日曜日
垢版 |
2024/05/01(水) 20:07:27.49ID:EMDLfgKQ
テスト
0037名無しさん@毎日が日曜日
垢版 |
2024/05/04(土) 09:02:33.23ID:saI1vVHo
「……お兄さま。お兄さま。お兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さま。……モウ一度……今のお声を……聞かしてエ――ッ…………」
 私は愕然がくぜんとして縮み上った。思わずモウ一度、背後うしろを振り返った。この部屋の中に、私以外の人間が一人も居ない事を承知し抜いていながら……それから又も、その女の声を滲しみ透して来る、コンクリート壁の一部分を、穴のあく程、凝視した。
「……お兄さまお兄さまお兄さまお兄さまお兄さま……お隣りのお部屋に居らっしゃるお兄様……あたしです。妾あたしです。お兄様の許嫁いいなずけだった……貴方あなたの未来の妻でした妾……あたしです。あたしです。どうぞ……どうぞ今のお声をモウ一度聞かして……聞かして頂戴……聞かして……聞かしてエ――ッ……お兄様お兄様お兄様お兄様……おにいさまア――ッ……」
 私は眼瞼まぶたが痛くなるほど両眼を見開いた。唇をアングリと開いた。その声に吸い付けられるようにヒョロヒョロと二三歩前に出た。そうして両手で下腹をシッカリと押え付けた。そのまま一心に混凝土コンクリートの壁を白眼にらみ付けた。
 それは聞いている者の心臓を虚空に吊るし上げる程のモノスゴイ純情の叫びであった。臓腑をドン底まで凍らせずには措おかないくらいタマラナイ絶体絶命の声であった。……いつから私を呼び初めたかわからぬ……そうしてこれから先、何千年、何万年、呼び続けるかわからない真剣な、深い怨うらみの声であった。それが深夜の混凝土壁の向うから私? を呼びかけているのであった。
「……お兄さま……お兄さまお兄さまお兄さま。なぜ……なぜ返事をして下さらないのですか。あたしです、あたしです、あたしですあたしです。お兄さまはお忘れになったのですか。妾あたしですよ。あたしですよ。お兄様の許嫁いいなずけだった……妾……妾をお忘れになったのですか。……妾はお兄様と御一緒になる前の晩に……結婚式を挙げる前の晩の真夜中に、お兄様のお手にかかって死んでしまったのです。……それがチャント生き返って……お墓の中から生き返ってここに居るのですよ。幽霊でも何でもありませんよ……お兄さまお兄さまお兄さまお兄さま。……ナゼ返事をして下さらないのですか……お兄様はあの時の事をお忘れになったのですか……」
 私はヨロヨロと背後うしろに蹌踉よろめいた。モウ一度眼を皿のようにしてその声の聞こえて来る方向を凝視した……。
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