俺、死にたいとか毎日思ってたらガンになったよ
発見されたときは既にステージ4だった
告知された時、半年後の生存率が2、3割と言われ隣で聞いていた母親は号泣したが俺はああ、そうかってくらいで何の感慨も無かった
それよりもガンによる激痛に苦しんでて
その痛みを何とかして欲しいって感じだった
医者がほとんど麻薬ですと言う痛み止めを打たれそれが切れるとナイフでザクザクと刺されてる様な痛みが背中に来ての繰り返しだった
痛みを取る=ガンを治すって事だから医師の言うままに抗がん剤治療が始まった
麻酔が効いてる間はトロトロと眠りについていたので、自分が死ぬかもしれないなんて考える暇はなかった
抗がん剤が効いて普通に動けるようになると、だんだんと周りが見えてきて
ガン病棟に入ってたから患者はみんななんらかのガンだった
おじいさいさんがほとんどだったけど若い人もちらほらいた
毎月だれかが亡くなって入れ替わりに患者が入院してきた
みんな思い悩むような顔をしていて、絶望的な顔をしてる人もいた
90過ぎたじいさんも思い悩んでてそんだけ生きてたら別にもういいだろとか思ったけど生きると言うことに見苦しいほど執着していた
可哀想だったのは32歳の人が入院してきてまだ小さい子供がいるのにガンになってしまってることだった
抗がん剤が効かないのかみるみる痩せてきて衰弱していった
お見舞いに来る奥さんと子供が痛々しかった
俺がガンになってもなんの感慨も無いのは奥さんも子供もいないし当事無職だったから失うものが無かったからだろう
あとから聞いたら抗がん剤の効く割合は50%って言われたから、死んでいてもおかしくなかったとなんとなく思う
あれから5年経つけど、生きてて良かったとか価値観が変わったとか全くない
別に長生きしたくないし、タバコもガンガン吸ってる
ただ母親よりは先には死ねないなとは思う
生きようとする力は誰かによってもたらされるのだと思う
失うものがないと生きようとは思えなくなる